ゆるぎない伝統、非日常の美意識が凝縮する京都「俵屋旅館」。
おはようございます。
店主の茶野です。
今日は本当は秘密にしたいお気に入りの旅館を紹介します。
ご存じの方もいるからもしれません。
俵屋旅館
創業1704年、京都で現存する最古の旅館。
日本の美しさの極み、別世界の空間がそこにあります。
俵屋旅館は公式HPはなく、知る人ぞ知る旅館です。
友人が建築関係の仕事をしていて、日本の建築物としても素晴らしい俵屋旅館のことを紹介してくれました。
俵屋旅館は、国の内外問わずにVIPご用達の宿でもあると言われています。
古くは大名や公家の旅籠として使用され、伊藤博文や大久保利通と言った日本史に名を残す人物や、
今公開中の映画ミッションインポッシブルのトム・クルーズ、ハリウッドの映画監督たち。
スティーブジョブズが家族と共に何度も訪れたという由緒ある旅館です。
そんな俵屋旅館に最初に泊まったのは20代の頃。
一流ホテルの原点があると言われていたので、サービス業だった前職に活かすために勉強のためにと泊まりました。
ただただ緊張し、ただただ感動。
その時からの目標が、1年間頑張ったご褒美に俵屋旅館に泊まることになりました。
言葉で書く事が無粋と感じるほど、至福の時間が過ごせます。
18ある素晴らしい部屋は、部屋のしつらえや見えるお庭の風景が違います。
伝統ある建物や掛軸など、
季節のお料理、
こだわり抜いた寝具。
全てにこだわっているのに、親しみやすさがある。
この数年、気に入っている部屋は「翠 みどり」。
この部屋の独特に静けさと、庭の風景、そして大きすぎず小さすぎずのサイズ感が気に入っている理由です。
以前は18ある部屋をすべて制覇!なんて頑張っていた時期もありましたが、客室係の方から「同じ部屋に泊まることをおすすめします」と言われました。
しかし、、、、
翠の部屋はなかなか予約が取れません。
茶野家は、毎年1年前に予約を入れていますが、年末年始は翠の部屋は予約できません。
年末年始は決まったお得意様が代々お泊りになっていて、その枠が空くことはないのだろうと思っています。
翠の部屋が空いている日に私たちが予定を合わせています。
翠の部屋には、北大路魯山人の行燈があります。
光が夕暮れの中に浮かび上がり、涼しげな空間を作ってくれます。
翠の部屋から見る庭が本当に素晴らしい。
隣に「富士」の部屋があり、ここから見る庭も素晴らしいのですが、翠の部屋からは奥行がある庭を堪能できます。
今回の掛軸は、室町時代のもの。
中庭。
玄関の夕顔。
玄関の朝顔図は、加藤静允(かとうきよのぶ)氏が描いたもの。
到着すると出してくれる蕨餅。
これ以上美味しい蕨餅はないです!と言えるくらい素晴らしい蕨餅です。
夕飯、朝ごはんともに部屋出しです。
料理長は俵屋旅館で一番長く働いています。
還暦を迎えたと聞きました。
8月は鱧や鮎。
今回は若女将のお茶会に参加できました。
土曜日のみ、しかも3組くらいしか参加できないとのこと。
若女将がたててくれたお抹茶。
お茶の作法がわからない私に、全然気にしないで大丈夫ですとおっしゃってくれました。
初めて若女将とゆっくり話すことができました。
学生時代はアメリカの大学に行っていて、ベーグルが大好きだったとのこと。
横浜生まれで、卒業後にご結婚を機に京都に来られたとのこと。
京都の伝統を愛する情熱がひしひしと伝わってくる方です。
すごく気さくで温かい方でした。
ここに行くことが私と主人の毎年の特別な楽しみである俵屋旅館。
このブログを書くまで、家族にも友人にも話したことのないお気に入りの旅館です。
京都で宿泊することがあれば、ぜひ思い出してもらえれば幸いです。