7日はプリンの日

ベーグルカンパニーのプリンが大好きだったお客さまの月命日にプリンを焼きます。

皆さま、店主の茶野です。
今日から営業スタートです。
ありがたいことに、福袋をやることもあってご予約をたくさんいただいております。

 

今日7日は、「プリンの日」です。

 

私が家族や友人のためにずっと焼いて来た堅焼きプリンを、私の中で大切な思い出のあるお客さま(Uさま)のために焼きます。

 

今回はちょっと重たいおはなしになります。

 

Uさまは昨年度の7月7日に、本当に残念なことですが亡くなってしまいました。
長らく病気を患っていらっしゃいました。
ベーグルカンパニーと出会ってくれた時、すでに闘病生活中でした。

 

ベーグルカンパニーのプリンやシフォン、ベーグルが大好きで、
特にプリンに関しては、「命の食べ物」だからとおっしゃってくれました。
食欲がない時でも、プリンならば美味しく食べれて栄養が取れると。
いつも朗らかでご主人と一緒に退院日に寄ってくれていました。

 

今だから思うのは、Uさまが「命の食べ物」と思う重さと、私が捉えた重さは違っていたんだということ。
命を失うことになるとは全く思っていませんでした。
Uさまのおっしゃった言葉の意味と深さに思いを馳せるとき、なぜもっと寄り添えなかったのだろうと。
そう思っています。

 

今年の7月に久しぶりにプリンを復活させたとき、Uさまにまた食べてもらえたらと思っての復活でした。
でもお会いすることなく、毎日が過ぎていきました。

 

そして7月の下旬、いつも一緒にご来店くださっていたご主人が来られて、奥様であるUさまが亡くなったと報告に来てくれました。
本当に残念です。

 

ご主人は月命日の7日になるとベーグルカンパニーに来てくれて、Uさまが好きだったベーグルやプリン、シフォンケーキを買っていかれます。
秋になり、プリンを毎日焼くことを止めてしまってから、Uさまのことが心のどこかで気になっていました。

昨年末にご主人からLINEが届きました。

 

『茶野様
家内はナンバーワンベーグル5個に囲まれて嬉しそうです。
お作りされているベーグル等に、「あったか、明るく元気に」という気持ちを込められ、日々頑張っておられる姿に家内共々感銘を受けていました。

 

食事を作ること、そして食べることに人一倍熱意を持っていた家内にとって、腸の病によってそれが制限されてしまうことに、生きることの意義を見失っていた家内が、
ベーグルカンパニーの、茶野様の、その姿勢が、そしてなにより本当に美味しいベーグルが家内の生きる糧になっていたこと、
「命の食べ物」であったことは間違いありません。

 

ベーグルに限らず、シフォンケーキもプリンも大好きでした。

 

これからも美味しいベーグルを作って下さい。 どうぞよろしくお願いします。』

 

号泣しました。
真夜中仕事のことで悩んでいて眠れない時に読んで、号泣してさらに寝れなくなりました。

 

私たちの日々やっていることを、こんなにあたたかく捉え、応援してくれる。
精一杯やっていることが伝わっているありがたさ。

 

同時に、毎日思った通りの結果が出せずに、どうしたらよいのか行き詰っていた私の小ささが恥ずかしくなりました。
自分のことを悩むより、周りの人のために出来ることがたくさんあるのでは?
たった一人のお客さまにさえも、時間がないことを言い訳にして人として向き合えていない自分が情けなくなりました。

 

その時に決めました。
2023年になったらやりたいことの一つ。
それは、Uさまの月命日である7日にプリンを焼くこと。

 

自分の中で勝手に決めてしまい、周りの人がどう思うのかという不安も少しはあります。
私の気持ちを曲がって捉える方もいるかもしれないと思いました。
でも、ご主人からのLINEを読んだ時、「7日にプリンを焼いてUさまに喜んでもらいたい」と願った気持ちに素直でありたい。
ただただそう思ったから、行動に移しました。

 

私の中で短い時間だったけれど、Uさまと共有した時間は輝いています。
思い出の中にいるUさまは、いつも微笑んでいるんです。
その優しい笑顔の思い出がずっと続いていってほしいと思っています。

 

そして、Uさまのように必要としている方のためになるような食べ物をこれからも作っていきたいです。