もちもち食感のベーグルを作るためのコツ。
皆さま、店主の茶野です。
金木犀香るこの時期、ベーグルも作りやすい時期になりました。
ベーグルカンパニーのベーグルの食感は、
「もちもち」
もちもちにこだわるのには、理由があります。
開店当初は、むぎゅむぎゅ系の食感でした。
本場NYのような。
むぎゅむぎゅも美味しいのですが、焼いた夕方になるとすでに水分が抜け始めてパサパサ感が。
翌日になると、かなりハードな食感になります。
当店のベーグルは翌日食べたりお土産にされる方が多い。
また通販のベーグルは冷凍するので、解凍後にパサパサ感が残ってします。
当日焼いた美味しさを、翌日や解凍後も可能な限り維持したい。
そう悩んでたどり着いたのが今の「もちもち」の食感で作ること。
ベーグルとはいうものの発酵時間を長くとり、
空気の層を作ることにより、食べた時にもちもちしているベーグルに作り方を変えました。
そして何よりも、私たち日本人は「もちもち」しているものが大好き!
お米を考えてみれば一目瞭然。
もちもち食感は長く愛される一つの指標になると思いました。
もちもち食感にたどり着くまでは、何度も、もっと言えば今でも、試行錯誤しながら作っています。
というのは、ベーグルはパン酵母という生き物を相手にしています。
1日たりとも同じ条件での仕込みはありません。
生地の種類が違えば、発酵の取り方も全然違います。
日々の焼き上げたベーグルを見ながら、毎回微調整をかけています。
今日よりも明日、
明日よりも明後日、
より良い、よりもちもちしたベーグルが焼けますようにとの思いで。
まずは基本となるもちもちベーグル作りの工程をお伝えします。
目次
1.もちもちベーグル作りのための捏ね上げ温度
捏ね上げ温度とは、
パン生地ができあがり、ミキシングを終えた時の温度です。
ミキシングが終わった生地に温度計を差し込み、計ります。
捏ね上げ温度は、とても大切です。
高すぎると発酵のスピードが速くなり、パンのようなふわふわ食感になります。
低すぎると発酵が遅くなり、時間がかかりすぎてしまう。
ここ数年は季節を問わずに同じ捏ね上げ温度にしています。
2.もちもちベーグル作り、分割までの時間について
1次発酵の時間の長さが、食感を決める大きなポイントの一つです。
一般的な話として、
1次発酵なしで分割→むぎゅっとした噛み応えある食感。ハードな食感が好きならこちらの方法。ベーグル当日食べるのには美味しいですが、夕方から食感がパサつき始めます。
1次発酵30分→もちもちした食感に寄っていきます。発酵による気泡の入り方により、パサつきが抑えられてきます。
3.もちもちベーグル作り、分割してからのベンチタイムについて
ベンチタイムも、その日により、季節により、湿度により毎日変えています。
分割後のベンチタイムについては、プレーン系なのか巻きものなのかによって変わります。
プレーン系のベーグルは、分割で硬くなった生地がゆるんだタイミングで成形に入ります。
具材を巻き込むベーグルは、具材の量や温度により影響を受けるため、その状況に応じた発酵を取ります。
かぼちゃや雑穀を練りこむ生地は、プレーンと比べて発酵を長くするとダレやすくなってくるので短めにしています。
4.もちもちベーグル作り、成形するまでの工程について
ベンチタイム終了後、いったん生地を生地玉の状態でを冷やして適宜成形します。
生地をいったん冷やして時間を置いた後に成形したほうが、もちもち食感になります。
生地玉の塊のままのほうが発酵のスピードが速い。
いったん成形してベーグルの形になると、発酵はぐっと緩やかになります。
5.もちもちベーグル作りのための成形
ベーグルをもちもちさせるために、成形は力を抜いて皮一枚だけ張らせます。
生地が常にリラックスしている状態を保つこと。
生地の中央には力が伝達されていなく、表面の皮一枚だけを軽く引っ張ってくる感じ。
発酵で作られた気泡を潰すことなく、さらに発酵が優しく自然に進むように皮一枚風船が膨らむ感じで張らせるのがポイントです。
6.もちもちベーグル作りのためのケトリング
ケトリングの長さは毎日、毎種類ごとに変えています。
ベーグルカンパニーは糖分なしの熱湯で茹でます。
ケトリング中に、ベーグルがふわっと膨張して艶と気泡が出てくるときが、ケトリング終了のタイミングです。
生地が適度に緩むことが必要です。
そのためにはケトリング前のベーグルの状態の見極めも大切です。
発酵が十分でない場合は、常温に出して生地の温度を上げてからケトリングに入ります。
そのひと手間でベーグルのもちもち加減は変わります。
ケトリング前の見極め、
ケトリング終了の見極め。
これは、毎日違います。
毎日作るからこそわかってきます。
7.もちもちベーグルを作るための焼成
発酵状態や種別ごとに焼成温度は変えます。
スイーツ系だと優しい焼き色、
お食事系だと少しだけきつね色に。
中心からグラデーションして焼き色が入ると、表情が出て美味しそうに見えます。
お客さま目線で見た時に、美味しく見えるかが基準でもあります。
下火はしっかり入れないと高さが出ませんが、入れすぎると噛みきりにくくなります。
途中で底の焼き色チェックは必ず入れています。
皆さま、もちもちベーグル作りのポイントを各工程ごとに書き出してみました。
こうして読むと、難しい!と思われるかもしれません。
毎日作っているからできることも多々あります。
私たちはプロなので、常に一定レベルのベーグルを作らなくてはなりません。
なので、各工程を可能な限り完璧にしようと日々意識しています。
家庭で作る場合は、プロが意識していることを頭の片隅に置きながら、楽しみながら作ることが一番です。
楽しい気持や、美味しくなーれという気持ちで作ると、必ず生地に伝わります。
ベーグル作りって楽しい!
この気持ちからスタートして、今現在お店をやっているのが私です。
好きという気持ちが何より大切だと思っています。